はじめに:話題の「エージェントモード」、もう試しましたか?

※この記事は2025年6月下旬にプレビュー版としてリリースされた機能について、2025年6月現在の情報に基づいています。
「Gemini Code Assistに『エージェントモード』という新機能が出たらしいけど、どうやって使うの?」「設定画面を見ても、そんな項目どこにもないんだけど…?」
私は最初にこのようなことを思いました。この記事を読んでいるあなたも、同じように感じているのではないでしょうか。
この記事でわかること
- VS CodeでGemini Code Assistを導入し、エージェントモードに切り替える手順
- 実際に3種類のタスクを試した結果と、そのプロンプト例
- 開始わずか30分で発生したクォータ制限エラーのリアルな内容
- エラーの解決策と、プレビュー版の賢い付き合い方の考察
この記事では、話題の新機能「エージェントモード」の始め方から、実際に使ってみて分かったリアルな使用感、そして誰もが直面するであろう「落とし穴」まで、詳しく解説していきます。
始める前の準備と注意点

利用条件:個人アカウントなら無料で試せます!
- Gemini Code Assist for individuals であれば、無料で利用可能です。
- ただし、無料プランには1日あたり1,000リクエストというクォータ(利用上限)があります。「この制限が後々重要になります…」とだけ、今は覚えておいてください。
- 会社や学校から支給されたGoogle Workspaceアカウントなどで利用する場合は、有料プランへの加入が必要になる場合があります。
利用条件は変更となる可能性があるので、Gemini Code Assist 公式サイトを確認してください。
Gemini「エージェントモード」の有効化手順
2025年6月現在、エージェントモードはプレビュー版ですが、拡張機能の設定から有効化できます。
VS Codeに「Gemini Code Assist」をインストール
まずは、VS Codeの拡張機能マーケットプレイスで「Gemini Code Assist」を検索し、インストールします。

Googleアカウントでログイン
インストール後、VS Codeの左サイドバーに表示されるGeminiアイコンをクリックし、個人用のGoogleアカウントでログインします。


AIエージェントモードを有効にする
VS Codeのコマンドパレット(Mac: Cmd+Shift+P
, Win: Ctrl+Shift+P
)を開き、「Open User Settings JSON
」と入力して、settings.json
ファイルを開きます。

開いたsettings.json
ファイルに、以下の1行を追記してください。(すでに他の設定がある場合は、カンマ,
を忘れないように注意してください)
"geminicodeassist.updateChannel": "Insiders",

ファイルを保存した後、Relaodしてチャット欄にAgent Modeのトグルが現れるのでONにすることで利用できるようになります。

【実録】エージェントモードで試した3つのタスクと結果

今回の検証は、ゼロからコードを生成するのではなく、私がある程度開発を進めているWebシステムのソースコード全体を対象に行いました。エージェントモードが既存のコードベースをどれだけ理解し、的確なサポートをしてくれるのかを試すのが目的です。
早速、有効化したエージェントモードの実力を試してみました。まずは結果のサマリーです。
試したタスク | 評価 |
---|---|
① プロジェクト全体のバグチェック | 非常に有用 |
② コード規約ドキュメントの生成 | 非常に有用 |
③ 全ユニットテストの自動生成 | クォータに要注意 |
ここからは、各タスクで実際に使用したプロンプトと、得られた結果を詳しく見ていきましょう。
タスク①:プロジェクト全体のバグチェック
- プロンプト
-
システム全体でバグがないか確認してください。
- 結果
-
プロジェクト全体の文脈を理解した上で、潜在的なバグ候補を4件も発見してくれました。さらに、それぞれについて複数の修正案を提示してくれ、内容は概ね的確で非常に有用でした。
タスク②:コード規約ドキュメントの生成
- プロンプト
-
GEMINI.md を作成してその中にコード規約を記載してください。今回はpythonをメインで使用しているのでPEP8に対応することを記載してください。
- 結果
-
こちらも非常に優秀でした。プロジェクトのルートディレクトリに
GEMINI.md
を作成し、PEP8準拠を明記した上で、変数名の規則やコメントの書き方など、実践的なコード規約を提案してくれました。
タスク③:全ユニットテストの自動生成
- プロンプト
-
全てのユニットテストを生成して実行し、問題がないか確認して
- 結果
-
これが運命の分かれ道でした…。テストコードの生成、ビルド、依存関係のエラー検知、そしてその修正提案…と、AIがフルパワーで動き続け、非常に高度な処理を行ってくれました。しかし、その結果…
【悲報】開始30分で発生した「クォータ超過エラー」と調査メモ

ユニットテストの自動生成をAIに任せていたところ、突然チャットが応答しなくなり、以下のエラーメッセージが表示されました。
Agent Error, unknown agent message: { "error": { "code": 429, "message": "Quota exceeded for quota metric 'Gemini 2.5 Pro Requests'...", "status": "RESOURCE_EXHAUSTED" } }
原因
個人向けの無料プラン「Gemini Code Assist for individuals」では、1日あたりのリクエスト数に上限(1,000 requests/dayなど)が設けられています。特にテストコード生成のような複雑なタスクは、内部的にAIへのリクエストが連続発生するため、短時間でこの上限に達してしまったようです。
Agent Mode (Preview)に「1,000 model requests / day」の記載あり
Compare Gemini Code Assist offerings 参照
試した復旧策と結果
試したこと | 結果 | 根拠・理由 |
---|---|---|
モデルのグレードを下げてリトライ | 公式FAQに「チャットはGemini 2.5 Pro、コーディングはカスタムGemini 2.0」と明記されており、ユーザー側での変更はできないと判断。 | |
翌日まで待つ | 翌日になるとクォータがリセットされ、再び利用可能になることを確認しました。正確なリセット時刻は不明ですが、日次でリセットされるようです。 |
使ってみた率直な所感(ファクトベース)
高評価ポイント
- バグ検出やドキュメント生成といったタスクは、1クリック+数秒で実用的なアウトプットを返してくれる。
- 複数ファイルを横断した解析を自動で行い、修正案も複数パターン提示してくれるのは非常に強力。
期待外れだった点 / 注意点
- テスト自動生成など、連続的なリクエストが発生するタスクは、すぐにクォータ上限に到達してしまう。
- 修正案の意図が確認できない
- エージェントがコードの修正を提案する際、選択肢が「Accept(承認)」と「Reject(拒否)」しかありません。「なぜこの修正をしたの?」と、その意図や理由をAIに直接問い合わせることができないため、提案を鵜呑みにするか、自分でコードを読んで判断するしかない点に不便さを感じました。
まとめと予告
今回は、リリースされたばかりのGemini Code Assist「エージェントモード」の始め方と、使ってみて分かったリアルな情報をお届けしました。
まとめ
- エージェントモードの有効化は
settings.json
の直接編集が必要。 - 個人向けプランなら無料で試せるが、1日1,000リクエストの上限がある。
- プロジェクト全体の分析やドキュメント生成は非常に強力。
- 連続的なコード生成タスクは短時間でクォータを消費するため、「ここぞ!」という場面で使うのが賢明。
予告
今後、クォータ管理が改善されたり、新しい機能が追加されたりする可能性は大いにあります。引き続きこのエージェントモードの活用方法を検証し、より実践的な使い方やプロンプト集などを別記事でレポートしていく予定です。